土浦ベリルクリニック

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家庭血圧とは?自宅での血圧測定が重要な理由について解説!

更新日:2025.7.22
公開日:2025.7.7

高血圧は日本人に多く見られる生活習慣病のひとつであり、心臓病や脳卒中といった重大な疾患とも深く関わっています。しかし、高血圧にはほとんど自覚症状がなく、気づかないまま放置されるケースも少なくありません。そこで注目されているのが、日常のなかで自ら血圧を測定・記録する「家庭血圧」の管理です。医療機関での一時的な数値では見落とされがちな血圧の変動を把握する手段として、家庭血圧の役割は年々大きくなっています。

本記事では、「家庭血圧」について解説します。健康を守る第一歩として、正しい知識と測定習慣を身につけることが大切です。

家庭血圧とは?病院で測る血圧との違い

家庭血圧とは、家庭内で自分自身または家族が血圧計を用いて測定する血圧のことを指します。これに対して、病院やクリニックで測る血圧は「診察室血圧」と呼ばれます。多くの人が病院に行くと緊張してしまい、一時的に血圧が高くなる現象、いわゆる「白衣高血圧」が起こることがあります。一方、家庭血圧は日常生活のリラックスした状態で測定されるため、より実態に近い血圧値を把握することができます。逆に、診察室では正常でも家庭では高い「仮面高血圧」のケースもあり、これを見逃すとリスクが高まるため注意が必要です。

なぜ家庭での血圧測定が重要なのか

家庭での血圧測定が重視されるのは、診察室との数値のギャップを埋める役割があるからです。特に高血圧は自覚症状が乏しく、発見が遅れることで脳卒中や心筋梗塞などの深刻な疾患へとつながる恐れがあります。日々の測定によって自分の血圧傾向を知ることができれば、医師の診断精度も高まり、適切なタイミングで治療や生活習慣の改善に取り組むことができます。また、家庭での血圧測定は患者自身の健康意識を高める効果も期待できるため、医療現場でも推奨される習慣となっています。

家庭血圧の正常値とは?目安と注意点

家庭血圧の正常値については、診察室血圧よりも少し低めに設定されています。日本高血圧学会によると、家庭で測る血圧の理想的な値は、上の血圧(収縮期血圧)が135mmHg未満、下の血圧(拡張期血圧)が85mmHg未満とされています。これを超える場合は高血圧と判断される可能性があるため、定期的な記録が大切です。ただし、年齢や体調によって一時的に変動することもあるため、単発の数値で判断せず、1週間程度の平均値を基に考えるのが適切です。また、測定環境や姿勢が不適切だと誤差が生じるため、正しい測定方法を身につけることも重要です。

血圧は朝と夜で違う?時間帯ごとの特徴

血圧は一日の中でも変動があり、特に朝と夜ではその傾向が異なります。一般的に、血圧は起床後1〜2時間の間に上昇しやすく、この時間帯に最も高くなる傾向があります。これは、自律神経が活動モードへ切り替わる影響や、ホルモン分泌の変化が関係しています。一方で、夜は副交感神経が優位になるため、血圧が下がりやすく、就寝前には比較的安定することが多いとされています。しかし、夜間にも関わらず血圧が高い「夜間高血圧」の状態は心血管リスクが高まるとされ、見逃すことはできません。そのため、朝と夜の2回測定することが推奨されており、時間帯ごとの血圧の違いを意識して記録を残すことが大切です。

家庭血圧が高いときに考えられる原因

塩分の多い食事や運動不足、睡眠の質の低下、喫煙や過度の飲酒など、日常生活に潜む要因が血圧を引き上げる可能性があります。また、ストレスや不安といった精神的な負荷も血圧上昇の一因となります。加えて、朝の測定時にトイレを我慢していたり、服の袖がきつかったりすると、測定値が高めに出ることもあるため注意が必要です。

高血圧が続いている場合は、生活習慣の見直しとともに、医師による診断を受けることが望まれます。時には、内服薬の調整や精密な検査が必要なケースもあります。

測定結果を医師にどう伝える?記録のコツ

家庭で測定した血圧の結果を医師に伝える際は、ただ数値を見せるだけではなく、記録の取り方にも工夫が必要です。毎日同じ時間帯に測定することを基本とし、朝と夜の2回、できれば1回につき2回ずつ測って平均値を記録するとより正確です。手書きの血圧手帳でもよいですが、最近ではスマートフォンアプリやデジタル血圧計に保存する方法もあり、医師との情報共有がしやすくなっています。また、数値に加えて、その日の体調や睡眠、服薬の状況なども簡単に記しておくと、診療時の判断材料として非常に有用です。

血圧が安定しないときの生活習慣の見直し方

血圧が日によって安定しない場合には、生活習慣の見直しが求められます。特に塩分の摂取量は血圧に直結するため、1日の塩分摂取を6g未満に抑えることが推奨されています。野菜や果物を多く取り入れ、カリウムを意識的に摂ることも有効です。また、適度な運動を継続することで、血管の柔軟性が保たれ、血圧のコントロールに役立ちます。睡眠時間が短かったり、深い睡眠が得られていないと血圧が上昇しやすくなるため、質の良い睡眠も欠かせません。喫煙やアルコールの過剰摂取も高血圧の要因となるため、可能な範囲で控えることが望ましいでしょう。ストレスマネジメントも忘れてはならない要素であり、心身のリラックスを意識した生活を心がけることが、血圧の安定につながります。