「透析を受けていると、体力が落ちるのは仕方がない」「疲れやすさや筋力低下は年齢のせいかも…」そんな風に感じたことはありませんか?
実は、透析中でも体力や生活の質を向上させる方法が「腎臓リハビリテーション(腎リハ)」です。
この記事では、透析を受けている方やそのご家族に向けて、「腎リハ」とはどんな取り組みなのか、どのような効果が期待できるのか、土浦市の土浦ベリルクリニックでの実践を交えて、わかりやすく解説します。
腎臓リハビリテーションとは?
腎臓リハビリテーション(以下、腎リハ)とは、慢性腎臓病(CKD)や人工透析を受けている患者さんを対象に、長期的かつ多面的にサポートを行う医療プログラムです。
主な目的は、体力(運動耐容能)の向上と維持、生活の質(QOL)の改善、透析患者さんの生命予後の改善の3つになります。
腎リハには、運動療法を中心に、食事療法、水分管理、薬物療法、心理的サポート、教育指導などが含まれます。これらを、医師だけでなく、看護師、薬剤師、腎臓リハビリテーション指導士、臨床工学技士など、多職種が連携して行うのが特徴です。
なぜ腎リハが注目されているのか?
透析導入患者の平均年齢は年々上昇しており、透析を受けている患者さんの高齢化が進んでいることから、健常者と比べて体力が著しく低下していることが報告されています。その結果、転倒や骨折、筋力の低下による要介護化など、さまざまな生活上のリスクが増加します。
しかし、運動習慣を取り入れることでこれらのリスクを軽減し、歩行能力や筋力の維持、血圧や血糖の安定化、うつ症状や不安感の軽減、入院リスクの低下といった効果が得られることが近年の研究で明らかになってきました。
当院の取り組み:腎リハの導入と特徴
土浦市の土浦ベリルクリニックでは、透析患者さんの健康維持と生活の質向上を目的に、開院当初から腎リハに力を入れております。
当院の医師・看護師は「腎臓リハビリテーション指導士」の資格を有しており、個々の状態に合わせた運動メニューを設計・指導しています。希望制ではなく“提案型”の腎リハを行っており、ADL(日常生活動作)の低下が見られる方に対してスタッフから提案し、その日の体調を確認しながら実施しています。
運動療法においては透析中にエルゴメーターを活用しており、患者さんが透析ベッドに寝たまま下肢の運動が行えるようにしています。筋力を保ちながら負担の少ないリハビリが可能です。 使用しているエルゴメーターには電動アシスト機能が付いていますが、筋力アップと安全性のため、あえてアシストを使用せず自力運動を促しています。
また、通院そのものが“リハビリ”になる構造設計をしており、透析室を建物の奥に配置し、患者さんに一定の距離を歩いていただくことで、日常生活に自然な運動を組み込む工夫をしております。
透析患者さんの健康管理や運動効果の「見える化」を目的に、土浦ベリルクリニックでは高精度体組成計「InBody(インボディ)」を導入しています。
InBodyでは、体重だけでなく筋肉量・体脂肪量・部位ごとの筋肉バランス・体水分量などを詳細に測定でき、体の状態を数値で正確に把握できます。 特に透析患者さんにとっては、筋肉量の維持や過剰な体脂肪の管理、適正体重の把握が極めて重要です。体重の増減は透析前後の水分コントロールにも直結し、「ドライウェイト(透析後の目標体重)」を適切に維持するための参考にもなります。
さらに、運動リハビリの成果が具体的な数値として見えることで、「頑張った分だけ筋肉が増えた」「脂肪が減った」という手応えを実感でき、継続のモチベーションにもつながっています。 患者さんご自身が、変化を「知って」「納得して」「継続できる」こと。InBodyは、その強い味方です。
運動は「透析中の希望」になる
腎リハは年齢や性別に関係なく、透析を受けているすべての方が対象です。
軽い運動からスタートできますので、「運動は苦手…」という方も安心して取り組めます。特に、透析を始めてから「体力が落ちた」と感じる方、足腰が弱くなってきたと不安を感じている方、転倒や骨折のリスクを減らしたい方、生活の質を改善し、長く元気に過ごしたい方は腎リハビリをおすすめしています。腎臓リハは透析患者さんがただ「生きる」のではなく、「自分らしく元気に生きる」ための大切な手段です。
土浦ベリルクリニックでは、腎リハを単なる“補助的なケア”ではなく、透析治療と同等に重視しています。 体力の低下が気になっている方、透析後も前向きに生活したい方は、ぜひ一度ご相談ください。